= ScalaでDI = == なぜDIが必要か == [[guice/Tutorial/WhyDI|DIする理由]]にも記述したが、これはユニットテストのためであると断言してよい。 DIすれば他にも様々な恩恵が得られるが、それらはむしろ副次的なものである。 いわく、「DIすればアスペクト指向によって、処理をはさみこむことができる」という。デバッグトレースには有効かと思うが、トランザクション管理に使うのは全く賛成できない。トランザクションを意図したコードであれば、それは明示的に記述されるべきであり、そのような意図の無いコードに後付するのは危険が伴う。 「(本番の)実行時に処理を変更できるからだ」という人もいる。これも同じで、そもそもそのような意図のコードであるなら、明示的にそれが記述されるべきである。そのような理由でインターフェースと実装を切り離す必要があるのなら、そもそもインターフェースを明示的に引数として渡すようなコードになっていなければならない。 DIはユニットテストのためにのみ存在するのである。それ以外の点で、もしDIを便利に使える場面があるなら、それはDI以外の方法で実現されなければならない。 == DIはどうあるべきか == [[http://eed3si9n.com/ja/real-world-scala-dependency-injection-di|実戦での Scala: Cake パターンを用いた Dependency Injection (DI) ]]という文書があるが、(私の定義では)これは全くDIになっていない(もちろんGuice以外の方法)。特に、Cake Patternはインターフェースと実装の分離ができているとはとても言えない。 上記を踏まえて、DIがどうあるべきかを考えてみると、私の意見としては以下である。 * テストされるコードとは無関係の場所でインターフェースと実装を結びつけることができること。 * 本番環境ではデフォルトの実装が、特別な操作無しに暗黙的に選択されていること(GuiceのImplementedByのようなもの)。 * インジェクションされるかサービスロケータとして実現されるかはどちらでも構わない。 * しかしむしろ、サービスロケータの方が理解しやすく、制限も緩いので望ましい。 * DIするときの記述はできるだけ簡単であること。「new コンストラクタ(引数)」と同様の短い記述で済ませられるのが望ましい。 * 特に注入されることを意図していないクラスの取得(生成)でも同じ記述ができること。 * DIはユニットテストのためなのだから、モックが簡単にできること。 * DIライブラリは小さくなければならないし、小さくすべきである。GuiceでさえAndroid向けには大きすぎる。 == liftのDIを調べてみる == * [[http://oss.infoscience.co.jp/scala/www.assembla.com/wiki/show/liftweb/Dependency_Injection.html|依存性注入(lift)]] もちろんこれは、狭義でのDIではなく、サービスロケータと呼ぶべきものである。作者も「どうとでも呼んでくれ」と言っている。 * [[http://comments.gmane.org/gmane.comp.web.lift/39937|Is Injector/SimpleInjector a Service Locator and not dependency injection?]] むしろ私にとってはそのほうが都合がよいのだ。狭義の「インジェクション」など必要ない。 続く。 == その他のScala専用DI == * [[subcut|subcut]]