コマンドパターンによるRCP

概要

コマンドパターンによるRPCは、それまでの生のRPC（GWT/RPC]）とは全く異なるものになる。以下ではクライアントサイドから見た違いを概観する。

従来型のRPC

一つ以上のメソッドの定義されたRPCインターフェースを作成し、そのインターフェースのサーバプロキシを取得する。
いずれかのメソッドを呼び出し、結果を得る。ただし、呼び出しは常に非同期なので、実際には定義インターフェースに対応する非同期インターフェースを使うことになる。

コマンドパターンによるRPC

RPCの一つのメソッド呼び出しを一つのオブジェクトとして実現する（SendTextToServer)。つまり、クラス名で「メソッド」を表し、そのコンストラクタパラメータとして「メソッド引数」を実現する。
呼び出しの結果値は別のオブジェクト(SendTextToServerResult)として実現する。
サーバ呼び出し機構（AsyncDispatch)のexecute引数として、呼び出しオブジェクトを指定し（SendTextToServer）、結果を得る。もちろん非同期なので、コールバックの結果としてSendTextToServerResultが与えられる。

実際のコード

GWTPのサンプルとして生成される実際のコードを見てみる。

SendTextToServer --- コマンド：引数としては一つの文字列のみ

import com.gwtplatform.dispatch.shared.UnsecuredActionImpl;
import com.cm55.gwtp.shared.SendTextToServerResult;

public class SendTextToServer extends
    UnsecuredActionImpl<SendTextToServerResult> {

  private String textToServer;

  @SuppressWarnings("unused")
  private SendTextToServer() {
    // For serialization only
  }

  public SendTextToServer(String textToServer) {
    this.textToServer = textToServer;
  }

  public String getTextToServer() {
    return textToServer;
  }
}

SendTextToServerResult --- レスポンス：返り値としても一つの文字列のみ

import com.gwtplatform.dispatch.shared.Result;

public class SendTextToServerResult implements Result {

  private String response;

  @SuppressWarnings("unused")
  private SendTextToServerResult() {
    // For serialization only
  }

  public SendTextToServerResult(String response) {
    this.response = response;
  }

  public String getResponse() {
    return response;
  }
}

ResponsePresenter内の呼び出し。dispatcherはあらかじめResponsePresenterに「注入」されているのだが、ここでは言及しない。

    dispatcher.execute(new SendTextToServer(textToServer),
        new AsyncCallback<SendTextToServerResult>() {
          @Override
          public void onFailure(Throwable caught) {
            getView().setServerResponse(
                "An error occured: " + caught.getMessage());
          }
  
          @Override
          public void onSuccess(SendTextToServerResult result) {
            getView().setServerResponse(result.getResponse());
          }
        });

コマンドパターンRPCのメリット・デメリット

何がウレシイのか？

Google I/O 2009 - Best Practices for Architecting GWT Appの8分経過あたり。

Command Pattern to make async tolerable（非同期を扱いやすくするためのコマンドパターン）

Leverage point for（活用ポイント）
- Caching
  同一のコマンドが実行された場合に、その結果をキャッシュから返すことができる。
- Batching
  複数のコマンドを束ねて一度にそれをサーバに送りこむことができる。
- Centralize failure handling
  failureハンドリングを一箇所で行うことができる。
Lays the groundwork for
- GWT.runAsync()
- Undo / Redo
- Gears / HTML5 DB

※早口で簡単に説明されているのでよくわからない点あり。

デメリット（と思われるもの）

従来型のRPC呼び出しメソッド一つについてクラスが二つ必要になる。

GWT/GWTP/RCP